お寺とマタニティハラスメント

Q 最近ではマタニティハラスメントという言葉をよく聞くようになりました。マタニティハラスメントというのは、どういう行為を指すのかなど、気を付けるべき点があれば教えてほしいです。

A マタニティハラスメントとは、いわゆる「マタハラ」と呼称されるハラスメントの一類型です。大別すると、産前休業や育児休業の利用を妨害する、制度利用を理由に解雇等の不利益措置を行うなどの「制度等の利用への嫌がらせ」によるものと、妊娠出産などを理由に意図的に仕事から外すなどの「状態への嫌がらせ」に分けることができ、使用者としては、マタハラに対し、未然に予防する体制の構築も含め、適切な対応が求められているといえます。

1 マタニティハラスメントについて

 マタニティハラスメントとは、いわゆる「マタハラ」と呼称されるハラスメントの一類型です。これもまた、私法上定義された概念ではありませんが、雇用機会均等法9条3項では、「女性労働者が妊娠、出産したこと、その他の妊娠又は出産に関する事由…を理由として当該女性労働者に対して…不利益な取り扱いをすること」を指すとしています。また、育児休業等の申し出についても、育児介護休業法において不利益取扱いの禁止が定められています。そのため、育児休暇を取得した男性に対し、これを理由とする不利益取扱いについても育児介護休業法の禁止行為に抵触するため、マタハラの概念は、妊娠出産、育児について、「男女」労働者に対する不利益取扱い全般を指すものといっていいかもしれません。

 上記に関するハラスメントの類型は多岐にわたりますが、大別すると、産前休業や育児休業の利用を妨害する、制度利用を理由に解雇等の不利益措置を行うなどの「制度等の利用への嫌がらせ」によるものと、妊娠出産などを理由に意図的に仕事から外すなどの「状態への嫌がらせ」に分けることができます。

2 使用者の留意すべき事項

 マタハラを含め、このようなハラスメントを放置することは、職場環境を悪化させ、職場に対する定着率の低下、労働者の勤労意欲の低下などを招き、結果として会社にとって不利益であるといえます。これに加え、使用者は職場環境を適切に整える責任や従業員の行動を適切に管理する責任があるため、このような状況を放置していれば、上記の義務違反を理由とする債務不履行責任や使用者責任を含む不法行為責任を追及されるリスクがあるため、使用者としては、日常的にマタハラを防止する環境を整備する必要性が高いといえます。

 なお、上記に関する事項について、事業主は、雇用機会均等法11条の3第1項及び育児介護休業法25条1項において、当該労働者の相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、その他雇用管理上必要な措置を取るべきことが定められています。

3 小括

 労働者の権利意識も向上してきている昨今、ハラスメントに対する対応はとても重要といえます。もっとも、ハラスメント防止の対応策などは職場の規模によっても異なるとともに、従業員自身にも研修を実施するなどして意識改革を行うことが重要です。これらの対応を自身で行うことは容易ではありません。

 弊所であれば、お寺のトラブルも含め、マタニティハラスメントに関し、弁護士による迅速かつ適切なアドバイスを申し上げることが可能ですので、いつでもお気軽にご相談ください。

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