御朱印のネットオークション売買について

Q 近年、寺院でもらった御朱印をインターネットオークションやフリマアプリなどで売買する事例が見受けられます。寺院でいただいた御朱印を第三者へ販売したり、反対に購入したりすることは法的に問題ないのでしょうか。また、寺院としてこれを禁止することはできるのでしょうか。

御朱印のネットオークション売買について

1 御朱印の意義

御朱印は、本来、参拝や納経を行った証として寺院から授与されるものです。

近年では、御朱印集めを趣味とする方も増え、美しい書や印章を楽しむ文化として広く親しまれるようになりました。

もっとも、御朱印は単なる記念品や美術品ではなく、寺院と参拝者との信仰上のつながりを示すものとして授与されるという本来の趣旨を有しています。

そのため、御朱印の売買については、法律上の問題だけでなく、宗教的・倫理的な観点からも慎重に考える必要があります。

2 法的問題

寺院から適法に授与された御朱印については、御朱印が記載された御朱印帳や紙自体の所有権は通常、授与を受けた参拝者に帰属します。

そのため、御朱印を第三者へ譲渡したり売却したりすることが、直ちに法律上違法となるわけではありません。

もっとも、盗難により取得した御朱印を販売した場合には、窃盗罪(刑法第235条)や盗品等に関する罪(刑法第256条等)等が問題となる可能性があります。また、寺院名を冒用して偽造御朱印を販売した場合には、有印私文書偽造罪・同行使罪(刑法第159条、第161条)や詐欺罪(刑法第246条)等が成立する可能性があります。さらに、その販売方法によって寺院の信用や名誉を害した場合には、民事上も販売の差止めや損害賠償請求の対象となることがあります。

3 寺院の考え方

以上に照らし、御朱印の譲渡が法律上直ちに違法とはいえない場合であっても、多くの寺院では、御朱印を転売目的で取得したり、営利目的で売買したりすることは、本来の授与趣旨に反するものと考えています。

御朱印は参拝した証として授与されるものであり、商品のように流通させることを予定したものではありません。

そのため、寺院としては、御朱印の趣旨を丁寧に説明し、転売目的での取得や営利目的での売買を控えるよう呼びかけることも重要であると考えられます。

4 寺院としての具体的対応

寺院としては、御朱印の転売を完全に防ぐことは容易ではありません。

もっとも、

・ 転売目的での授与はお断りすること

・ 営利目的での取得はご遠慮いただくこと

・ 御朱印の趣旨を境内やホームページ等で説明すること

などの対応は十分考えられます。

また、限定御朱印などについては、一人当たりの授与数を制限することにより、転売防止を図っている寺院も見受けられます。

5 インターネット上での対応

寺院名屋印章を冒用した偽造御朱印の販売や、寺院の信用を害するような販売行為が行われている場合には、寺院としては、必要に応じて販売事業者への削除申請や発信者への警告等を検討することも考えられます。

また、寺院の名称やロゴ、写真等が無断で利用されている場合には、個別の事案に応じて使用の差し止めや損害賠償などの法的対応を検討すべき場合もあります。

6 本件ケースにおける対応

御朱印をインターネットオークションやフリマアプリ等で売買することについては、個々の事案によって異なるものの、適法に授与された御朱印を譲渡する行為が直ちに違法となるわけではありません。

しかし、御朱印は本来、参拝や納経の証として授与される宗教的意義を有するものであり、多くの寺院では転売や営利目的での売買はその趣旨に反するものと考えています。

寺院としては、法的規制だけに依拠するのではなく、御朱印本来の意義を参拝者へ丁寧に伝えるとともに、必要に応じて授与方法や授与枚数、転売防止に関するルールを整備することが望ましいでしょう。

御朱印の転売や偽造、寺院名の無断使用、インターネット上での権利侵害への対応その他寺院運営に関する法的問題については、弁護士法人 永 総合法律事務所にて迅速かつ適切なアドバイスを申し上げることが可能ですので、いつでもお気軽にご相談ください。

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