Q 寺社をはじめとする宗教法人は税金の支払いについて一般的な会社と比べて優遇されていると聞きます。固定資産税については具体的にどのように優遇されているのでしょうか?

1寺社と税法上の特例
株式会社など一般的な法人が事業活動を行う場合には法人税など様々な税金が課税されることになります。
その一方で、寺社を含む宗教法人については本来の活動である宗教活動については基本的に「非課税」とされており、税制上多くの優遇措置を受けています。
宗教法人が「宗教の教義を社会一般に広めること」、「宗教としての儀式行為を執行すること」、「信者の宗教的な教育育成」との3つの目的に従って宗教活動や公益事業をしている限り、法人税などは課税されないというのが基本的な原則になります。
しかし、寺社が課税されないのは非収益事業(公益事業)についてのみであり、収益事業から生じる所得については営利法人と同様に法人税等の課税対象となりますので、その判別も含めて注意が必要です。ただ、収益事業で課税される場合であっても、その税率は一般的な法人に比して低い税率が適用されるなど、ここでも優遇措置はとられています。
2寺社と固定資産税
一般法人が土地・家屋・償却資産などのいわゆる「固定資産」を所有している場合、その評価額にしたがって固定資産税が課税されます。
しかし、寺社が上記3つの目的に使用するために所有している「境内建物」や「境内地」(宗教法人法第3条)には固定資産税はかかりません。
これは、そもそも固定資産税がその資産を利用した経済的活動から収益が生じることを前提に課税するものであるところ、寺社が所有する境内建物や境内地はもっぱら宗教活動のために使われるものであってそこからの収益が期待できないことによります。
3具体的なケース
固定資産税が非課税とされるのは寺社が所有する「境内建物」や「境内地」についてですが、具体的には以下のようなものがあります。
なお、繰り返しになりますが、これら不動産の固定資産税が非課税になるのはあくまでも寺社がこれらを使って宗教活動や公益事業をしていることが前提であり、収益事業を行った場合には一般法人と同様に課税され得るという点には注意してください。
①本堂・本殿
本尊仏や御神体を安置する本堂や本殿については、その本質上、宗教活動のために使用されるべき境内建物であることは明らかであり、固定資産税は課税されません。
これにつき本堂や本殿に有料の拝観料を徴しているかどうかは関係ありません。
②庫裏・社務所
僧侶や神職が居住し生活の場として使用している庫裏や社務所については、もっぱら宗教活動のために使用する境内建物であることは明らかであり、宗教活動以外の使用態様をしていない限り、固定資産税は課税されません。
③納骨堂
遺骨を安置する納骨堂についても、その本質上、宗教活動のために使用されるべき境内建物ですから、固定資産税は課税されません。
なお、ペットの遺骨を安置する納骨堂の場合であっても、動物供養のための宗教施設として建立されたことが明らかである場合など、固定資産税が課税されないケースもあります。
④宿坊
僧侶や信者など参詣人のために作られた宿泊施設である宿坊についても、「宗教の教義を社会一般に広めること」との宗教目的に基づき使用されている限り、固定資産税は課税されません。
⑤駐車場
仏事や神事の際に僧侶や信者、参詣人などが集まるために使用するものであれば宗教法人の目的のために必要なものとして固定資産税は課税されません。
ただし、固定資産税が課税されないのは信者らが駐車場を無料で使用できることが前提です。信者ら以外の誰でもが利用できる有料のコインパーキングなどの場合は課税されますのでご注意ください。
⑥墓地
遺骨を埋葬する墓地についても、その本質上、宗教活動のために使用されるべき境内建物ですから、固定資産税は課税されません(地方税法第348条2項4号)。
なお、ここでいう「墓地」は墓地、埋葬等に関する法律に基づき都道府県知事の許可を得た墓地でなければなりません。たとえ実態としては墓地として使用していたとしても、都道府県知事の許可を適切に取得していない場合には「墓地」には該当せず、固定資産税が課税されますので注意が必要です。
4本件ケースにおける対応
一般法人と異なり、寺社はその宗教活動に用いるために必要な多くの土地・建物や附属施設を所有しているのが通常です。これら固定資産について固定資産税が課税されるか否かは、上述のとおり固定資産の性質に加えて、公益事業か収益事業かといった寺社が行う活動の内容によっても大きく異なるものです。
これらを踏まえたうえでそれぞれの固定資産に果たして税金が賦課されるのかを適切に判断することは非常に困難です。
弊所は寺社など宗教法人の税務にも精通した税理士とも提携しており、これら固定資産税のケースについても適切なチームを組んでワンストップサービスをご提案いたします。
寺社の固定資産税ケースの具体的な解決については、弊所にて迅速かつ適切なアドバイスを申し上げることが可能ですので、いつでもお気軽にご相談ください。
【寺社財産と固定資産税に関するよくあるご質問】
| Q1:寺社(宗教法人)が所有する土地や建物には、固定資産税はかからないのでしょうか? A1:原則として、「専ら本来の宗教目的に使用していること」かつ「宗教法人法第3条で規定される境内建物・境内地に該当すること」の2つの要件を満たせば非課税となります。しかし、これらの要件を満たさない場合(第三者に有償で貸し出している場合など)は、一般の不動産と同様に固定資産税が課税されます。 |
| Q2:参拝者や檀信徒用の「駐車場」にも固定資産税はかかりますか? A2:法事などの際に、檀信徒の方が無償で利用するための駐車場であれば非課税となります。一方で、檀信徒以外の第三者に対して有償で貸し出している(有料駐車場として運用している)場合は、宗教の用に供しているとはいえず、課税対象となります。 |
| Q3:「拝観料」を徴収しているお堂や、「納骨堂」の税務上の扱いはどうなりますか? A3:お堂は、拝観料の有無にかかわらず宗教本来の目的に使用されていれば非課税となります。納骨堂については、境内建物に該当すれば非課税となりますが、宗旨宗派を問わず広く一般(檀信徒以外)に貸し出しているケースなどでは、課税対象と判断された裁判例もあるため個別の確認が必要です。 |






